MBA留学雑記帳@オックスフォード

Saïd Business School, University of Oxford

MBAのその後(2)

前のポストで、MBA留学から復職後、半年で転職したことを書いた。今回はその辺りの詳細について。

休職にもいろいろあるとは思うが、自分の場合、MBAのバカ高い授業料も留学中の給料も一切払ってもらってはいないし、誓約書的なものもないので、留学後の身の振り方に制約はなく、自由に決められる立場にあった。それでも、一度は元の会社に復職した。でも、細かいことは割愛するが、MBAに自腹で投資をしたことや、自分の今後のキャリア形成を考えてやっぱり転職したほうがいいという結論に達したわけだ。

さて、就職活動についてだが、留学中に活動をしたわけではないので、いわゆるMBA新卒採用みたいなものはすべて逃したことになる。つまり、普通の中途採用での勝負。そもそも初めての転職活動だったので、MBA云々以前にいろいろ不安もあった。それでも、MBA後に転職するとしたらこの会社が一番のターゲットかなと考えていたところに転職したので、MBAに行く前に考えていたプラン通りの結果になったことになる。

MBA留学生の王道的な就活といえば、戦略コンサルや金融(特に投資銀行とか)、製薬会社などに多いMBA新卒採用だろう。中にはMBAホルダー向けプログラムを持っている会社もある。でも、自分はあくまでもメディアに関連する仕事という軸で動こうとしていて、そういうMBAの王道みたいな業界にあまり興味がなかった。そうなると、MBA新卒採用をやっている会社もごくわずかなので、あえて留学中の就活にこだわらなくてもいいかなと思ったわけだ。

ただ、それは同時に、MBAへ行ったからこそできる大幅なキャリアチェンジの機会を放棄することでもある。会社にもよるんだろうけど、MBA新卒採用は多分にポテンシャル採用の側面もあるから、前職と無関係の仕事につけるチャンスがとても大きい。一方でMBA取得直後といえどもMBA採用以外のポジションに応募すれば、普通の中途採用なので過去のキャリア・実績ありきになる。自分の場合、大きなキャリアチェンジは狙っておらず、過去の自分の仕事とかなり連続的なキャリア形成を考えて転職活動をした。そういう意味では、MBAの恩恵を最大限に生かしてはいないんだろうと思う。

このところ、日本ではMBAホルダーの就職は売り手市場だといわれている。そもそも転職市場一般が活況という前提があるんだけど、MBAの場合、留学生数が増えていないわりに企業側の採用意欲が高まっているということになれば、MBA新卒が一般の転職以上に売り手市場になるのも納得ではある。

一方で、MBAを取得したことが一般の転職活動でどのくらいプラスになるのかが気になるところ。結局、この辺はあまり一般化はできないところなので、なんとも言えないけど、少なくとも自分の場合、MBA後の就職という面でそれなりにうまくいった(気がする)。実のところ、MBAを取っていなくても今回の活動でオファーをもらった会社に転職することはできたかもしれない。ただ、面接でのやりとりだとか、オファーの内容(給与、職務レベル、期待されるキャリアパスなど)を考えると、MBAを取ったことがプラスに働いたのは間違いないように感じている。

ちなみに、今回はMBAがプラスになりそうなグローバル企業しか受けていない。だから、上記のような印象になっているという面がある。業種、職種、会社によってはMBAはまったく評価されないのもまた事実。でも、そういう会社を狙うならそもそも何のためにMBAに行ったの?ということにもなるので、それはMBAが意味あるのかとは少し違う話な気もする。いずれにしても、まわりを見渡してみると、MBAとか他の大学院留学を経て、いい感じの転職をしている人が多いなという印象はもっている。

MBAのその後(1)

MBAが終わって日本へ帰国してからもう8か月くらいたってしまった。このブログも中途半端なまま放置していたけど(そもそも留学中も中途半端な更新だったけど)、MBAは就職とセットの話だから、留学後の話を書いておこうと思う。

自分は休職してMBAへ行っていた。そのため、お金の面では完全に私費のステータスに該当するものの、就職活動をしなくても戻る場所がある立場だった。いろいろ悩んだ部分があったのは事実だけど、最終的に元の会社に復職する決断をした。とはいえ、MBAの学生という立場を有効活用しないと損なので、時間をやりくりして夏は日本でインターンをしたりはしたけれど。

9月末に帰国したあと、10月からは元の会社に復職したのだけど、肝心なのはポジションということになる。留学前にやっていた仕事をそのままやることになるようなら身の振り方を考えてしまうなと思っていた。MBAホルダーなんて抱えたことがない会社だから、自分をどのように扱うのかよくわからかったし。

結論としては、元のポジションに戻るのではなく、わりといい感じのポジションで仕事をすることになった。ただ、ものすごく年功序列な会社だし、ジョブレベル、グレード的な面で変化があったわけではないので、自分が何かを決められるわけではないんだけど、動き方としてはプロダクトの企画・制作・マーケティングなどなどに関わる課題の解決に自由に動ける仕事を与えられたような状態。もっと言うと、このポジションは以前は存在しなかったので、自分で業務を組み立てていけばいいようなもの。社内を見渡したときに、MBA後にやる仕事としては納得感のあるものになった気がする。

会社としてはある種の事件として自分の留学を捉えたんだと思うし、思ったよりもまじめに考えてくれたのかもしれない(巡り合わせによる偶然の可能性も否定できないけど)。少なくとも、結果として福利厚生として社費派遣を行っている会社の人から聞く不満に比べると、まだましな状況になったと言える気がする。

などと、それなりに満足しているふうな流れではあったけど、復職してからちょうど半年くらい働いたところで、結局は転職してしまった。このあたりはまた次のポストにて。

Oxford MBA日本語サイトをリニューアル

タイトルのとおり、Oxford MBAの非公式日本語サイトをリニューアルした。
http://oxfordmba.wix.com/japan

東京でのインターンから戻ってきてからというもの、旅行ばかりしている9月だけど、先週とうとうMBAを修了。終わってみれば、1年というのは本当にあっという間。じゃあ、2年制に行きたかったかというとそういうことでもないんだけど。

さて、ウェブ制作の仕事をしていた自分が1年前にOxford MBAに来て課されたミッションが、Oxford MBAの日本人在校生による非公式日本語サイトのリニューアルだった。以前のは2009年に作られたもので、FC2ブログを使ったものだったから、他の学校の在校生が運営している日本語サイトに比べると、内容以前に見た目の部分で見劣りする状況になっていた。ということで、うちの学校の日本人教授からもリニューアルを期待されていたわけなのだ。

授業がある間はなんだかんだ手をつける気にはなれず、いろんなことが落ち着いた夏になってからようやく新サイトの制作に着手して、オックスフォードを離れる前になんとかリリースすることができて、とりあえずよかったよかったというところ。

インターンのために日本へ帰国

夏のオプションは選択科目を選び、その選択科目も7月中旬までに授業を取り終えるようにスケジュールを組んだので、8月は自由に使える時間になった。ということで、8月の1か月は東京でインターンをすることになっている。1年制なのにこういうことができるのはOxford MBAのいいところ。

インターン先はデジタルマーケティングエージェンシー。いわゆるMBAインターンではなく、自分が興味がある会社にお願いしてインターンをさせてもらうことにした。この会社を選んだ理由はいくつかあって、これから先もメディアに関わる仕事をしていきたいとは思っているんだけど、せっかくの機会だし、今までとは違う角度からメディアに関わってみたいと思い、クライアントに対してマーケティングサービスを提供する、言ってみればコンサル的立ち位置の会社で働いてみることにした(コンサル業界に興味があるわけじゃないけど)。それと、その会社が得意としている分野がデジタルマーケティングのなかでも一番興味があるものだったというのも大きい。そして、その会社のCEOのマーケティングに対する考え方にずっと前からかなり影響を受けていたので、一緒に働いてみたかったというのもある。

選択科目終了後はひたすら課題に取り組んでいて、一番早い締切の課題は今日提出した。残りの2つの課題の締切はまだ先なんだけど、インターン中に余計な課題に悩まされるのが面倒だったので、だいたいの目途がつくところまではもう書き上げてしまってある。なので、学校のことを完全に忘れてインターンをする準備は万全。

などと、ポジティブな姿勢を見せておきつつ、快適な気候のオックスフォードから真夏の東京へ行くのが実はかなり憂鬱だったり。でも、明日出発ということろまできてしまったので、とにかくインターンをがんばってこよう。

ケンブリッジへ行ってきた

オックスフォードにいる以上、ケンブリッジも見ておかねばと思いながら、早11か月。夏の選択科目の課題も目途がついてきたので、インターンで東京に戻る前にと思ってケンブリッジへ行ってきた。ケンブリッジMBAも受験したんだけどビジットはしてないし、それ以前の旅行でもケンブリッジには寄ってないので、完全に初訪問。

うちのMBA生の間で、オックスフォードとケンブリッジのどっちがいいかという話になると、国籍を問わずみんな言うのが、1年間住む街という観点で見たら断然オックスフォードという話。要はオックスフォードの方が街が栄えていて生活に便利という話だと思う。もちろんオックスフォード側の人の意見なんで、ケンブリッジの人がなんて言うのかはわからないけど。

で、行ってみた感想としては、「あれ、言うほど大差なくない?」って感じ。わからないけど、たぶん中心部の栄えてるエリアはみんなが言うようにオックスフォードの方が広いんだと思う。でも、ケンブリッジも十分にあちこちにいろいろお店やらがあるように感じたのは、オックスフォードは住み慣れて狭く感じているのに対して、ケンブリッジは初めてで地理感覚がつかめてなかったからなのかな。よくわかりません。

カレッジをはじめとする大学の建物が散在している街並みは基本的には似ているんだけど、そうは言ってもこの2つはやっぱり違う。ケンブリッジはケム川がハイライトだと思う。街の中心を流れていて、いくつものカレッジがこの川沿いに建ち並んでいる。少し中心から外れた辺りでもケム川の岸辺が憩いの場みたいになっていてすごく雰囲気がよかった。オックスフォードはテムズ川が流れてるんだけど、中心からは若干外れていて、その支流というか運河はあちこちに張り巡らされているものの、ケム川のような存在感はない。

この差が如実に表れるのがパンティング(手こぎの小さなボートに乗るアクティビティ)。ケム川でパンティングをするケンブリッジの方がきれいな景色を楽しめるのは間違いない。実際、ケンブリッジの方がパンティングの乗り場が混んでいたように思う。

一番の観光名所となるカレッジとしては、オックスフォードのクライスト・チャーチに対して、ケンブリッジはキングズ・カレッジということになるんだと思う。どっちもチャペルが名物だけど、チャペルとしてはキングズ・カレッジの方がすごいかな。ただ、クライスト・チャーチはハリー・ポッターの撮影に使われたダイニングホールっていうもう一つの見所があるけど。

もう一つ、大きな違いとしては、公園の存在がある。ケンブリッジは比較的街の中心に広めの公園がいくつもあって、寝転がったり、スポーツを楽しんだりする人たちがたくさんいた。オックスフォードも公園や自然はたくさんあるんだけど、街の中心を取り囲むように配置されてるから、どうしてもわざわざ行くところっていう感じになってしまうのだ。

どっちがいいかは好みの問題だとは思うけど、観光視点で考えると、川とか公園とか自然が絡んだ景色にひかれやすい人はケンブリッジの方が気に入ることが多いんじゃないかな。一方、オックスフォードのハイストリートの辺りの景色にはケンブリッジにはない壮観さがあると思うし、ラドクリフ・カメラの存在も大きいと思う。そういう意味で、建物を中心とした街並みの美しさによりひかれる人はオックスフォードの方が気に入るんじゃないかと思う。

f:id:mediash:20140727101119j:plainキングズ・カレッジは立派だった。

 

f:id:mediash:20140727101138j:plainケム川から見えるキングズ・カレッジのチャペルが一番きれいな景色だったかも。

 

f:id:mediash:20140727101155j:plainケム川にかかる数学橋。

 

f:id:mediash:20140727101209j:plainバスステーションのすぐ脇が公園。

 

f:id:mediash:20140727101223j:plainジャッジ・ビジネススクール。建物が不思議なデザイン。